なごみこども園 インタビュー続2

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通信に載せきれなかったインタビューの続きです。小学校に進学していくことについて伺いました。

イーヨー:みんなで今からお絵かきしましょう、お遊戯をしましょうと一斉に活動するのではなく、子どもたちの個性を大切にしたり、子どもたちのやりたいことを大事にしていく保育をされていて、その後小学校に上がると、急に一斉活動になってしまうと思うのですが、そのことについてはどのように考えていますか?

園長:一斉というよりも、一斉に動いているように見えるけど、小学生になって自立して、一人ひとりが授業を聞いていると考えています。、例えば、幼児期で言う平行遊びのようなイメージ。同じ教科を一緒に受けているけど、頭の中で考えていることはそれぞれ違っていて、一つの環境の中で同じことをしている、と思っています。ですから、当然学力も差が出てくるのだと思います。

イーヨー:なごみ保育園(現:なごみこども園)さんの卒園生が小学校に行ってからの様子はどのように聞いていますか?

園長:特に、問題は聞かないですね。ただ、よくその質問されるのですが、小学校に行ったらどうかというより、私たちはもっと長い目で見ています。

この保育園で最も重きを置いているのは、生きる力を育むことなんです。生きる力って何か。その子が自立することではなく、形容詞として「人のために」がついて、人のために生きられるようになって欲しいと思っている。

人のために生きるようになるっていうのは、大人になってからの話だけれど、それが最小単位なら家族のため、もう少し広い意味でいうと、自分の個性や特性をいかして、社会のために。お店をやって入れば、お客さんのためかもしれないし、看護師さんなら患者さんのためかもしれない、保育士だったら子どものためかもしれないし、他者のために生きることが心地いい、喜びを感じるようになってほしい。これが生きる力だと思っている。

これは、勉強できるできないは関係ないんです。例えば、介護に携わる人、人と関わること、お年寄りを介護して、心地よい生活をするのがうれしいと感じる。社会にはこういう人も必要です。みんながホワイトカラーで官庁に行けばいいというわけでなくて、社会を構成するには、多様な人間がいる必要がある。

そして、どうすると「人のために生きられる」ようになるかというと、自分が社会的弱者だった時にどれだけ助けてもらったかの体験の集積でそうなっていくだろうと思っています。この時期にどれだけ自分の要求を適切に満たしてきたか、自分がしたいことをどれだけ受けとめられたか、なんです

小学校行って、一律勉強ができればいいわけでなくて、勉強はできなくても、人付き合いがものすごくうまいとか、スポーツが長けているとか。もちろん両方できたほうがいいんだけれども。

大切なことはもう少し長い目で見た時に、人のために生きるのに、備わっていて欲しいのは、考える力、コミュニケーション力、自分に自信を持っていることや、主体性など。もちろん、自分自身が健康でなければ人のためには生きられないので、生活習慣もしっかり身についていたほうがいい。そういうものが大事にされた遊びや丁寧な育児によって生きるために大切な力が育っていくと考えています。