なごみこども園 インタビュー続1

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通信に載せきれなかったインタビューの続きです。遊びの環境づくりはなぜ大切なのか伺いました。

イーヨー:「0歳からやっておきたい教育vol.5」の雑誌でなごみ保育園ルポを拝見しました。その記事で開園当初は幼児の子たちで積み木などで遊べない子が多かったが、乳児からなごみ保育園で育った子の代になったら遊びが変わったとありました。やはり乳児から子どもたちを見ていくと違いがあるのでしょうか。

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園長:10年間やってきて思うのは、子どもが遊びたいという動機がその子の中にあるように見えて、実は外側にあるのだということ。遊びたいおもちゃ、道具、環境があることが同時に大事なことなのです。子どもが「積み木で遊ぼう。」と思って積み木で遊ぶのではなくて、そこに積み木があるから「積み木で遊ぼう。」と思うんです。そういった外の動機(遊びたくなる環境)というのに出会う機会が全くないと遊ぶ時期を逃してしまう。

相沢:アフォーダンスですね。(アフォーダンスについては、「げ・ん・きNo.143」や「環境構成の理論と実践」の資料がわかりやすく書かれています。)

園長:そうですね。そういった環境で育ってこなかった子達にとっては、積み木はただの木片にしか過ぎなくなってしまう。なので、「自分でしたい」と思える環境の中でどれだけ体験や経験を重ねてきたかということがすごく大事だなと思うようになりました。

それは、この前の細田直哉先生(聖隷クリストファー大学助教)の実験でも、わかりました。なごみ保育園の幼児の保育室のおもちゃを全部なくして朝から子どもを迎えてみたんです。そしたらやはり、部屋で走り回ったり、普段出さないような大きな声を発したりすることがありました。それは、環境がないと遊ばない、遊べないということなんです。

また、園の見学に来られた方が、積み木が積まれているのを見て、「なんで崩れないんですか?」とよく疑問を持たれるのですが、崩れないのがうちの園の日常なのです。それは大人が規制したり、注意して維持しているわけではなく、小さい時から積み木に関わって遊んでいるから。そういう子達は、積み木は壊すよりも積む方が楽しいと体験的に知っているんです。

イーヨー:それは乳児期からそのように関わってきているからなんですね。先ほどおっしゃられていた積み木があっても木片に見えてしまう、遊びたいという欲求が出てこないのは大人との乳児期の関わり方なのでしょうか。

園長:例えば、これは「敏感期」という言葉で説明できるかもしれません。1歳半ぐらいから始まる秩序に対して敏感になる時期があります。例えば並べたい、重ねたい、積みたいとう欲求が出たときに適切な道具があることによって、並べて心地いい、重ねて気持ちいいという経験ができる。これは一生続くような欲求ではなくて、一時的なもの。だから「敏感期」っていうのだけれども。この時期にそういった欲求があるにも関わらず満たすような道具がなかったような場合、その時期は過ぎさっていてしまう。体験、経験がないと、今度はやってみたいという気持ちが生まれなくなってしまう。その後からでも、そういった力が身につかないわけではないけれども、より時間がかかったり大変になってしまうんです。