川和保育園前編 通信掲載(2015年10月号)

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今回、取材した川和保育園は、すばらしい園庭の保育園として多くのメディアに取り上げられ、毎日のように見学者がやってくる。園庭ばかりが注目されているが、室内環境もネフ社の積み木をはじめ、たくさんのおもちゃが年齢や発達に合わせて用意され、充実している。

横浜にある小さな森のような保育園

横浜の工業、住宅地にありながら、園内に一歩入ると小さな森の様にたくさんの木々に囲まれた園庭が広がる。一般的に保育園の園庭というと、小学校同様、中央が平らで広く、遊具がその周りにいくつかあるというところが多い。40年以上前は川和保育園もそうだった。現在の寺田園長が園を継がれた時から、園庭に木を植えることを大切にされてきたそうだ。そして、現在、夏は木々の葉が生い茂り、木陰を作って子どもたちの遊び場となっている。私は、取材の時期をあえて夏にさせていただいた。川和保育園は、夏の間だけ、園庭にカヌーの浮かぶじゃぶじゃぶ池という水遊び場が登場する。冬は冬で焚き火があり、ゴーカートや自転車などの乗り物を乗り回し、竹馬レースがあったりと魅力的なのだが、みなさんにぜひ夏のダイナミックな遊びを紹介したいと思ったのである。

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(じゃぶじゃぶ池:中央に、ジャングルジム、それに続く一本橋。手こぎポンプに、井戸のつるべ(くみ上げバケツ)もある。水は毎朝、地下水を入れ替えているので冷たくて気持ちがいい。)

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(セミとりをする子どもたち:園庭でのセミとりも、たくさんの木々があるからできる。「セミとり楽しくってたまらない。」のつぶやきが聞けた。)

毎日子どもたちのドラマがある園庭

川和保育園を見学するときは一日居て欲しいと園長は言う。毎日子どもたちのドラマがあるのが見てもらえるというのだ。私も今回いくつかドラマに遭遇した。その一つがロープウェイだ。園長と私が話していると、女の子が一人、ロープウェイをやりたいと園長に言いに来た。その子はもう何度もやっている子で自信があるようだった。その子の後にもう一人女の子がついていき、一緒に地上3.5mの塔へ上っていく。後の子はまだ一度も飛べたことがないそうだ。横で何度か飛んでる子の様子を見ながら、意を決し、もちろん時間はかかったが初めて成功したのである。自ら、「できるようになりたい」と思い、こわい、失敗するかもといういろんな葛藤を乗り越え、成功した時の子どもの表情は本当にすてきだ。

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(高さ3.5mからのロープウェイ:終点の横にある椅子に腰掛けて、ただ静かに見守る園長。)

子どもの「やりたい!」がかなう場所

 川和保育園は、子どもたちの「やりたい!」という気持ちにとことん応える環境づくりをしている。とくに幼児はスリルや危ないことが好きだ。また、「今はできないけど、もう少しでできる」ことに挑戦して成長していく。その過程にはある程度の危険が伴う。そこをリスクを避け、はじめから禁止してしまうのではなく、安全対策を考え、万全な環境を作り、子どもの力を信じて挑戦させている。川和保育園にはじゃぶじゃぶ池だけでなく、プールもある。そこに、昨年度の父母の会が作ったという卒園制作のウォータースライダーと飛び込み台があった。たぶん、ほとんどの園が、プール遊びで飛び込みを禁止しているのではないだろうか。もちろん、川和保育園にも、、みんなが楽しく遊ぶためのルールは存在する。自由に遊ぶというのは好き勝手に遊ぶとは違うと寺田園長は言う。自由とは制約があること、人に迷惑をかけることは自由ではないと。この園の子どもたちは、本気で遊んでいる。誰かに強制されるでもなく、大人の目を気にすることもなく、自らの欲求で遊び込んでいる。その姿が本当に尊く美しい。私は今回の取材以前にも何度か川和保育園を訪れたことがあるのだが、毎回のように子どもの遊ぶ姿を見ていると涙が出そうになる。それは、子どもたちの遊ぶ姿が本当に幸せそうだからなのだろう。

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(プール:ウォータースライダー、保育士の監視台の前に飛びこみ板がある。プールにはシュノーケルを付けている子がいるのは園外保育で海へ行くからか。)

 川和保育園の魅力は、実際に見てもらわないと全ては伝わり切れないのだが、それもなかなか難しい。興味を持たれた方は、ぜひ『ふってもはれても』(2,000 円+ 税)を合わせて読んでいただきたい。子どもたちがいきいきと遊ぶ姿が、多くの写真と子どもたちのつぶやきでつづられている。また、今回は紙面の許す限り写真で魅力を伝えたいと考え、川和保育園の記事は2回に分けさせていただいた。次号後編で保護者を巻き込んでの川和流保育についてお伝えする予定。

川和保育園 後編」へつづく。