3.行事に振り回されない保育

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ある保育園の改革のはなし その3

A保育園には大きな行事は三つしかありません。運動会、生活発表会をかねたクリスマス会、そして遠足です。そのいずれにも、0・1歳児は参加しません。0・1歳児は基本的生活習慣の方が大切ですから。

さて、その運動会も見せる運動会ではなく、「親子で遊ぶ」をテーマにしています。ですから、当然練習もしません。お遊戯もありません。同じことの繰り返しの中で身につける事の方が重要であって、行事はそのためのスパイスにすぎないのです。クリスマス会も一年たって、発達を確認し、褒めて上げるためのものだといいます。

遠足で行くところは近場の3箇所と決められていて、順繰りに行くのだそうです。目的は親子と父母同士の親睦。バスの中でも着いてからも、親睦を促すレクリェーションをします。保育士はこのために綿密な準備をするそうです。

誕生会は月毎にまとめてやったりせず、その子の生まれた日にやります。誕生日が休みの日の場合は、本人の希望で早くしたり遅くしたりするとのこと。誕生日には、朝からリボンをしているので、他のクラスの先生や父母にも「おめでとう」を言ってもらえるそうです。一日中嬉しそうな様子が浮かんできますよね。誕生会では、その子の一番好きな本を読んでやったり、文学遊び(簡単な人形劇など)をしたりします。こんな所にも個を大事にする姿勢がうかがえます。

自分の持ち物や場所にはマークが付けられていますが、これは入園の時に親に決めてもらいます。大体その子の大好きなものになるそうですが、アニメのキャラクターなどにはしないでもらうそうです。それでは落ち着かないし、他の子とダブらないという配慮もあるようです。マークを使う前はひらがなで名前を書いていたそうですが、字を読めない子にそれはないですよね。

先生はお互いのことを「先生」と呼ばないというのもこの園の特徴です。これは本当に素晴らしい。大人同士でも個を尊重しているということですね。そして、先生の服装ですが、保育中はエプロンをしています。これは、保育園は第二の家庭だという配慮からです。こういう服装だと、先生の立ち振る舞いも自然に落ち着いてきますよね。もちろんジャージなんか着ていません。

(コプタ通信2007年05月号より、柿田友広)